チャラい彼は、意外と一途


キス……?


この人と?


冗談じゃない。


「嫌だ。近づかないで」


「叫んでも無駄だから。ここほとんど人通んないし」


近づいてくる顔。


逃げようにも強い力で摑まれていて逃げられない。


どうしよう……


こんな人に、私のファーストキスを奪われなきゃいけないの……?


私のファーストキスは好きな人とって決めてたのに……


目頭が熱くなって、涙が出てきそうになる。


顔の距離はあと数㎝で……


助けて……!


お願い、助けて……!



「何やってるの?」


「ふゆに何やってんだよ」


低い声。


ひどく怒ってるのが分かる。


「湊君、佐野先輩……」


助けてくれたのは、湊君と佐野先輩だった。


来てくれた……


安心して、ポロッと出る涙。


よかった……


「あーあ、あと少しだったのに……」


「お前、怒るぞ。ふゆが嫌がってんだろ!」


「そんなの関係ないし」


湊君は私と久隆君を離して間に立ってくれた。


「君の本性知ってる人は知ってるよ。君の本性を全校生徒にばらしてあげようか?動画も撮ったし」


「はぁ!?何で、あんたにそんなことされなきゃ……」


「ふゆちゃんを傷つけたからだよ。それに、君が今までしたこと忘れてないよね?僕の友達を傷つけておいて」

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