チャラい彼は、意外と一途
少しドキドキしている自分に気づいて嫌になる。
こんなのでドキドキしてるなんて……
自分に呆れていると……佐野先輩がサーブを決めた。
あの時の、確かジャンフロ?サーブとは違ってすごい威力。
あんなの誰も取れないよ。
「ジャンプサーブだ」
ボソリと呟かれた言葉に首を傾げる。
新しい言葉が出てきた。
「ジャンプサーブ?」
「通称ジャンピングサーブ。スパイクサーブとも言われてるくらいの威力をもつの。ジャンフロだけでなくジャンプサーブもできるなんて本当にすごい」
紗奈ちゃんに解説してもらって、何も分からない私でもすごいと思えた。
これも難しいのかな……?
「ジャンプサーブって難しいの?」
「もちろん、難しいわ。初心者じゃ絶対できない技よ。バレーやってる人でも難しいもの」
へー、そうなんだ。
じゃあ、佐野先輩は本当に運動神経いいんだね。
凍堂先輩の言葉を思い出す。
『それは本当だよ。こいつ、だいたい何でもできるから』
佐野先輩を見てると、不公平だと思ってしまう。
「あ、律先輩だ!」