チャラい彼は、意外と一途
上で見ることになったから、少し遅れてしまった。
移動している間に試合が始まっちゃったんだ。
「あぁっ、ちょっと見逃しちゃった」
「始まったばっかりだから大丈夫だよ」
「そうね」
上は下に比べたら少ないものの、結構いる。
下だと見えないから、こっちに来てよかったよね。
それに、ここだとよく分かる……
コートを見渡して、視線をあるところに釘付けになった。
私の目はしっかり湊君を追いかけていたんだ。
スパイクを決めたり、サーブを決めていたり。
本当にかっこいいな……
普通に見惚れてしまった。
「このままだと負けちゃう!よし、応援よ。律先輩ー、頑張ってください!」
す、すごい、紗奈ちゃん。
こんな中でよく応援できるな……
尊敬していると、ふと視線を感じた。
見てみると、佐野先輩とバチッと目が合う。
何だろう……
怪訝な顔してしまっていると、にっこりとこっちに向かって笑った。
「キャー、こっちに向かって微笑んだよ!」
私の近くにいた女の子が興奮気味に呟く。