チャラい彼は、意外と一途
「紗奈ちゃん、苦戦してるみたいだね」
「あっ、律先輩!」
私と紗奈ちゃんは今、勉強ルームにいる。
テスト勉強をしたい人がこの部屋で勉強するんだ。
そこに、凍堂先輩と佐野先輩が来た。
「どうしたんですか?佐野先輩達も勉強にしに来たんですか?」
「うん、まぁね。今の順位をちゃんとキープしておきたいし」
意外だ。
凍堂先輩は分かるけど、佐野先輩が勉強しに来るなんて……
「ふゆちゃん、今なんか失礼なこと考えたでしょ」
「えっ、いえそんなことは……」
図星だったから、ギクリとした。
「ふーん。まぁ、いいや。僕達も混ぜてよ」
佐野先輩はにっこりと笑って、私の肩に手を置いた。
いつもなら紗奈ちゃんが離してくださいって言うんだけど……その紗奈ちゃんは凍堂先輩の方を見ていて。
「あ、いいですよ」
しっかり凍堂先輩の方を見て、そう言った。
凍堂先輩がいるからだよね……
佐野先輩だけだったら、紗奈ちゃんだってこうは言わない。
佐野先輩、それを分かってるのかも。
「紗奈ちゃんがいいならいいですよ」
しょうがないから、私はこう言うしかなかった。