チャラい彼は、意外と一途


私と紗奈ちゃんは向かい合って座っていたんだけど……佐野先輩は私の隣に。


凍堂先輩は紗奈ちゃんの隣に。


この席順は諦めるしかない。


大人しく解いていると、どうしても解けない問題が。


うーん、これどうやって解くんだろう……?


考え込んでいると、佐野先輩もそれに気づいたみたいで……


「これは、こうやって解くんだよ。これを……」

 
すごく分かりやすく教えてくれた。


「えっと。あ、こうですか?」


「うん、正解」


優しい笑みを浮かべて、私の頭をポンと優しく触れた。


この時ばかりは特に嫌とは思わなかった。


「ふゆちゃんに教えたし、自分のやつを取り組もうかな」


そう言って、佐野先輩は黒縁の眼鏡を取り出した。


眼鏡をかけると、本当に真面目そのもので。


少し癖のある黒髪に眼鏡がとてもよく似合っていた。


この姿初めて見た……


かっこいいな。


そこでハッと我に返って、さっき自分が思ったことに愕然とする。


かっこいいなって思った……!?


佐野先輩に……


いや、でもそれは思うよね。


女の子は皆思うだろうし、かっこいいと思うことは悪くないよね。


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