チャラい彼は、意外と一途


そう思って、自分を落ち着かせた。


「っていうか、佐野先輩が勉強する意味ってあるんですか?」


えっ、何で紗奈ちゃんそういうこと言うんだろう……?


不思議そうに言う紗奈ちゃんに、私も不思議に思った。


「紗奈ちゃん、何でそんなこと聞くの?」


「はっ、まさか知らないの?佐野先輩って首席なのよ」


えっ……


「そうなの!?」


知らなかった……


佐野先輩は見た目は真面目だけど、中身がね。


見た目で判断しちゃいけないっていうけど、佐野先輩の場合は中身で判断しちゃいけない、だね。


「あはは、ふゆちゃん知らなかったんだ?」


「はい、知りませんでした」


なんか、申し訳なく感じる。


「面白いね、ふゆちゃんって。佑都、入学式の時挨拶してたんだよ?あの時、生徒会長が休みだったから、佑都が代わりに挨拶してたんだけど、首席って言ってたしね。まぁ、そのことを知らなくても、佑都が首席だっていうことは学校中に知れ渡ってると思うよ。佑都、目立つしね」


凍堂先輩にも笑われる始末。


「そうだったんですね」


そういえば、あの時妙に騒ぎ立てられてた気がする。


それって、佐野先輩が挨拶してたからなんだ…… 


私、あの時意識飛んでたから、誰が挨拶したのか分からなかった。


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