チャラい彼は、意外と一途


朝、学校に行き教室に着くと、紗奈ちゃんはいない。


どうしたのかな……?


珍しい。


先生が来て、その理由は明らかとなった。


「今日は柳樂は欠席だ。ホームを始めるぞ」


紗奈ちゃん、今日休みなんだ……


いつも元気いっぱいな紗奈ちゃんが休みだからか寂しく感じる。


クラスの子も……


「紗奈ちゃん、休みか」


「癒しが1人減ったな」


「紗奈が休みとか寂しいよね」


「ほんとほんと」


紗奈ちゃんって、本当に皆から好かれてるよね。


すごいなぁ。


紗奈ちゃんの席を見て、余計に寂しさが増す。


佐野先輩が来てくれたらいいのに……


いつもなら、そんなこと思わない。


でも、紗奈ちゃんのいない寂しさを紛らわすためかそう思ってしまった。


佐野先輩が毎回来るのに、だいぶ慣れたんだ。


その度に前ほどじゃないけど、冷たくしてる。


先輩なんだけど、そんな気を遣わず言えるんだよね。


「ふゆちゃん!」


この声は佐野先輩じゃない。


「萌ちゃん」


振り向くと、萌ちゃんだった。


「せっかくだし、おしゃべりしよう!」


「うん、そうだね」



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