チャラい彼は、意外と一途


振られた……


さっき萌ちゃんが言ってたけど。


「振られるのは辛かったですか?」


「言ったでしょ。本気になる前だったって。だから、浅い傷ですんだよ」


浅い傷……


やっぱり、多少は傷ついたんだ。


「本気になってたら、もっと傷ついたんだろうね。でも、萌のことは全く怒ってないよ。自分だって散々やってたし、不安にさせてたのは自分のせいだから。しょうがないかって感じ」


切なそうな顔。


佐野先輩は本気になりかけてたって言ってたけど、もう本気になってたんじゃないかな……


だって、少し切なそうな顔してるから。


「ふゆちゃん、そんな顔しないでよ。いつもみたいに紗奈ちゃんと同じくらい嫌そうな顔しといてよ」


い、嫌そうな顔……


私、思いっきり顔に出てるんだ……


「ふゆちゃんは笑った顔が1番可愛いけどね」


「なっ、か、からかわないでください!」


突然、そんなこと言うから。


やっぱり、この人信用ならないかも。


「本当だよ?」


「信じられません」


「んー、ふゆちゃん酷いね」


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