チャラい彼は、意外と一途


忘れてた。


佐野先輩は学校でも有名なプレイボーイなんだ。


私じゃなくったって可愛いって言う。


そんなの当たり前なんだ……


「ですよね。佐野先輩、お幸せに」


「ありがとう、ふゆちゃん」


私はすぐに教室に戻った。


このままだと訳の分からない感情に飲み込まれてしまいそうだったから。


何なんだろう……


考え込んでいたら、紗奈ちゃんのいない長い授業が終わって放課後に。


「ふゆちゃんだよね?」


「あっ、凍堂先輩」


帰ろうとしたら、廊下でばったりと凍堂先輩に会った。


「今日は紗奈ちゃんいないの?」


「あ、はい。今日は休みです」


「そっか、残念だな」


その顔は本当に残念そうで、聞いてみたくなった。


「あの、凍堂先輩は紗奈ちゃんのこと好きなんですか?」


ずっと聞きたかったこと。


多分紗奈ちゃんは凍堂先輩のことが好きだから、凍堂先輩が紗奈ちゃんのことを好きなら両想いだ。


そう思って聞くと、


「何言ってるの、ふゆちゃん」


あれ、違うのかな……


そう思って落胆した直後。


「大好きなんだよ、紗奈ちゃんのこと」


返ってきた答えに嬉しくなった。


「紗奈ちゃんと凍堂先輩、お似合いだと思います」


「ありがとう。応援してくれる?」


「はい、もちろんです!」



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