チャラい彼は、意外と一途


意味が分からなかった。


友達だから応援するっていうのは分かるけど、だからといって何で私と佐野先輩が付き合う前提でお似合いと言うのか分からない。


まぁ、凍堂先輩は私に好きな人がいるということを知らないかもしれないけど。


「佐野先輩みたいな一途じゃない人ほごめんです。それに、今日女の子に告白されてて付き合うことにしたみたいですし」


「なるほど、それでか。佑都はああ見えて寂しがり屋なんだよ。だから、いろいろな女の子と付き合っては別れてを繰り返してるんだ。まぁ、根本的な原因は環境のせいだけど」


引っかかる言い方。


何なんだろう……?


「もし、佑都と付き合うことになったら、その時は協力するよ。またね」


詳しく聞こうとすると、凍堂先輩はさっさと帰っていってしまった。


あの含みのある言い方は気になるけど、しょうがない。


私も帰ろう……


そう思って昇降口に行くと、湊君とばったり出会った。


湊君……


姿を見ただけでもドキドキしてしまう私は相当重症。


湊君のことが本当に好きなんだ。


「あ、湊君」


「ふゆ、今帰りか?」


「うん、湊君も?」


「あぁ、部活があったからな」


些細な会話。


それでも、私にとっては幸せ。


こんな会話だけでもね。


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