チャラい彼は、意外と一途
「久しぶりに一緒に帰らないか?」
「うん、いいよ」
湊君はだいたい萌ちゃんと帰るから、私と帰ることはほとんどない。
あの時以来かな……
久隆君と仲良くなった時。
あれにはびっくりしたけど、あれ以来もう話しかけられることもないし、安心してる。
「萌ちゃんは?」
「萌はもう帰った」
「そうなんだ」
萌ちゃんと帰らないなんて珍しい。
「あ、そうだ。ふゆ、お願いがあるんだけど」
湊君からお願い……?
「お願いって?」
「実は、もうすぐ萌の誕生日なんだ。その誕生日プレゼントを何にしようか迷っていて。ふゆの力を借りたい。一緒に買い物をしてくれないか?」
萌ちゃんの誕生日プレゼントを買うため。
それは分かってる。
でも、私は嬉しくてたまらなかった。
だからこそ、湊君の顔が少し曇っていたのを気づけなかった。
「うん、いいよ」
湊君とデートできる。
湊君がそう思ってなくても、私が勝手に思うのはいいよね。
「ありがとな。じゃあ、明日買いに行くか」
「うん、分かった」
今から明日が楽しみになった。