いつの間にか、君に恋していたんだ。
「ごめん、待たせちゃって」
「いいの。っていうか、全然待ってないから」
笑ってそう言ってくれる由香ちゃんは、すごく優しい。
「じゃあ、行きましょ……」
「琴月!」
由香ちゃんの声を遮って、こっちに向かってきた神崎君。
「何なの、神崎太陽」
遮られたせいか、由香ちゃんは明らかに不機嫌で……少しドキドキしていると
「すみません、玉城先輩。あのさ、琴月。こんなタイミングで変だとは分かってるけど、俺のことを名前で呼んでほしいんだ!」
名前……?
「う、うん、いいよ」
「よっしゃ!じゃあ、俺も名前で呼ぶな!伊鳥、またな!玉城先輩もまた!」
「うん。またね、太陽君」
手を振り返して、太陽君に向かって笑う。
「やっぱり、あいつ……」
「どうしたの?由香ちゃん」
「ううん、何でもない」
「……?」
変な由香ちゃん。
でも、太陽君と仲良くなれてよかったな。
由香ちゃんと帰りながら、そう思った。