いつの間にか、君に恋していたんだ。


「あ、着いた」


マンションに着いて、階段を上がる。


……そういえば、私階段登るのだいぶきつくなくなってきたな。


前はすぐきつくなってたのに。


なんて呑気なこと考えながら、登りきった。


「ただいま!」


「お邪魔します」


今いるかは分からないけど、とりあえず言った。


でも、部屋に入ったら輝楽さんがいて。


「あ、おかえり、太陽。伊鳥ちゃんもいらっしゃい」


本を読んでたみたいだけど、顔を上げて微笑んだ。


最近余計に思うけど、輝楽さんの笑顔が前よりも優しい気がする。   


それに、目も。


あと、どこか愛おしそうな視線をこちらに向けてるような……


もちろん、気のせいだと思うけど……


そう分かってるのに……トクン、トクン。


心拍数が速くなっていく。


「輝楽兄、伊鳥が輝楽兄に用事があるんだって」


「そうなの?」


「あ、はい」


聞かれた私は頷く。


びっくりした。


太陽君は察してくれたみたい。


何か言いたいことがあるって。


「太陽から聞くとはね。まぁ、いいけど。俺も言いたいことあるし」


えっ、輝楽さんもあるんだ……


「なら、輝楽さんが先言ってください」


「いいの?」


「はい。私のは後でいいです」


輝楽さんが話したいこと……予想もつかないけど、なんだろう?




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