いつの間にか、君に恋していたんだ。


「キャー!伊鳥ちゃん、可愛いわ!」


「えっ……ひゃっ!」


急に小夜さんに抱きつかれて、バランスを崩してしまう。


そのまま倒れて尻もちをついてしまった。


「いたたっ……」


「あぁ、ごめんなさい!大丈夫かしら?伊鳥ちゃん」


「伊鳥ちゃん、大丈夫?」
  

小夜さんは心配してくれて、でもそれは輝楽さんも一緒で。


手を差し出してくれた。


「はい、大丈夫です。ありがとうございます」


その手を握って、立ち上がった。


「オーナー。急に抱きつくのはもうしないであげてくださいよ」


「はーい。それにしても、本当に大切なのね」


「そうですよ」


よく分からない会話。


今回は主語が抜けてるからだと思うけど……


「珍しいわね~それにしても、本当に可愛いし似合ってるわ!」


「えっと、ありがとうございます」   


きっとお世辞で言ってくれてる。


それはちゃんと分かってるけど、嬉しかった。


「お世辞じゃないわよ。ね?神崎君もそう思うでしょう?」


「……はい、思います。伊鳥ちゃん、それすごく似合ってる」   


「えっ、ほんとですか?」


輝楽さんに言ってもらえたのがすごく嬉しかった。


小夜さんに言われたことよりも嬉しいかもしれない。 


それがお世辞だったとしても。


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