いつの間にか、君に恋していたんだ。
「あぁ、ほんと」
舞い上がってしまいそうになる。
「ほら、言ったでしょう!伊鳥ちゃんは本当に可愛いの!絡まれたら、ちゃんと言ってちょうだいね!」
「あ、はい。分かりました」
私が可愛いっていうのはありえないし、可愛くない私に絡む人なんていないだろうけど……
万が一絡まれたら、言わないとね。
自分じゃ難しいだろうし。
でも、なるべく自分で頑張ろう……!
「あまり分かってなさそうで不安だわ。神崎君、伊鳥ちゃんを守ってあげなさいね」
「言われなくても、分かってます」
そんな私に小夜さんは不安げな顔で何やら輝楽さんに言っていた。
私は首を傾げたけど……
「じゃあ、伊鳥ちゃん。さっそく接客してもらうわよ。神崎君と一緒に行ってちょうだい」
「はい、分かりました」
話は進む。
小夜さんは輝楽さんのことを信用してるんだな……
それがよく分かった。
「あ、やっぱり待ってちょうだい」
「えっ……」
輝楽さんについていこうとしたら、小夜さんに呼び止められる。
見ると、悪戯っ子みたいな何かを企んだような顔をしていて。
な、何だろう……
少し嫌な予感がした。
「神崎君は先行ってて」
「……分かりました」
輝楽さんは部屋から出ていって、私と小夜さんの2人になる。