いつの間にか、君に恋していたんだ。


「俺に教育係を命じられたんで、結構です」


「いやいや、最初違う奴をオーナーが指名してたじゃん。まぁ、最終的にはそうだけどな」


なんか輝楽さんの顔が怖くて、空気も少し悪くなったような気がした。


な、何だろう……


「あの、私は輝楽さんがいいです。輝楽さんとは元々知り合いなので。それに、輝楽さんにはとても優しく教えてもらってますよ?」


「へ~神崎がね」


チラッと何故か輝楽さんを見て、含み笑いを浮かべていた。


「本気なんだ?」


「そうですよ」


意味が分からない会話。


私にもっと理解力があったら、分かるのかな……?


考え込んでいると……


「まぁ、いいや。それにしても、伊鳥ちゃんその髪型可愛いね。ここの制服も似合ってる」  


さらっとそんなことを言われて、やっぱりチャラい人だなって思ってしまった。


「あ、ありがとうございます」


それでも、そう言ってもらえるのはやっぱり嬉しい。


輝楽さんに言われた時ほどでもないけど……


「もういいじゃないですか。自分の仕事に戻ったらどうですか?」


「おー、そうするわ~」


輝楽さんの顔は何故か不機嫌で。


でも、そんな輝楽さんとは対照的に「またね」なんてウインク付きで、持ち場に戻っていった。


……不思議な人。


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