いつの間にか、君に恋していたんだ。
「オーナー、さっき伊鳥ちゃんがガラの悪い客に絡まれてたので、助けました。もう帰らせた方がいいんじゃないですか?」
「まぁ、そんなことが!いいわよ、帰って!」
「えっ、でも……」
「いいから、帰りなさい」
命令口調で、私はそれに従うことにした。
「分かりました」
「なら、俺が送ります」
「いや、神崎君が送ってくれなくていいわ。私がするから。その代わり、オーナーが抜けることになるけど、大丈夫よね?」
「……それは大丈夫ですけど」
「なら、そうするわ。伊鳥ちゃん、それ着替えて早く帰りましょう」
「は、はい」
オーナーか帰ってもいいのかなと思ったけど、いいのなら……
さっさと着替えて、店を出る。
その時、前から働いている先輩方から挨拶してもらった。
優しいよね、1人以外は。
「伊鳥ちゃん、今日はどうだったの?」
「えっと、楽しかったです。最初はぎこちなかったけど、だんだん慣れてきてそれもなくなりました。スムーズに言えるようになって、本当に楽しかったです」
最後はちょっと最悪だったけど、それでもよかった。
バイトを今までしたことなかったけど、やってみるもんだね。