いつの間にか、君に恋していたんだ。
それにうんざりしながら、先輩に答える。
「その人がどんな人かによりますけど、好きになることはないです」
俺には今好きな女がいるし。
「神崎らしいな!」
「変わりもんだよなぁ、神崎も。普通、可愛い子が来るって聞いたら、喜ぶもんなのに」
「俺、女は嫌いなんで」
「そうだったよな~ほんともったいない!」
「それな!俺も神崎くらい顔整ってたら、人生楽しかっただろうにな!」
……そういう先輩達も顔整ってるけどな。
このカフェは、男女共に美形しかいない。
それで、客引きをしてるらしい。
事実、ここには顔の整ってる奴しかいない。
中でも俺の顔は断トツで整ってるらしい。
こんな顔、迷惑でしかないけど。
そんな時、もう1人入ってきた。
「李人、入りまーす!」
氷河李人先輩。
チャラい先輩で、俺はどっちかと言ったら苦手なタイプ。
「おー、李人!」
「今日は早いな!」
「あ、李人君だー!」
「李人!」
でも、氷河先輩は人気がある。
仕事はできるし、姿勢は意外と真面目だ。
気さくな面もあるから、余計に。
「お前、かっこいいからずるいよなー!」
「ははっ。そういうお前らもだろ。まあ、俺も神崎には負けるけど!」