いつの間にか、君に恋していたんだ。


きっと、伊鳥ちゃんのことが可愛くてしょうがないから、余計に不安なんだろう。


「じゃあ、伊鳥ちゃん。さっそく接客してもらうわよ。神崎君と一緒に行ってちょうだい」 


「はい、分かりました」


俺と伊鳥ちゃんが出ていこうとすると…… 


「あ、やっぱり待ってちょうだい」 


「えっ……」


オーナーに引き止められた。


何だ……?


「神崎君は先行ってて」    


「……分かりました」


その顔は悪戯っぽく笑っていて、少し嫌な予感がした。


また部屋から出て、伊鳥ちゃんが出てくるのを待つ。


オーナーに何させられてるか分からないから、不安だ。


そのまま少し待つと、伊鳥ちゃんが出てきた。


伊鳥ちゃんに目を向けると、また固まってしまった。


「えっと……輝楽さん?」


伊鳥ちゃんは困ったように首を傾げているけど……


勘弁してほしいと思った。


今、伊鳥ちゃんのしている髪型はツインテール。


それがとても可愛い。


どんな髪型をしてもそう思うだろうけど、可愛い伊鳥ちゃんにツインテールはよく似合っていた。


「これ、似合わないですよね」


「いや、違う……むしろ、その逆」


伊鳥ちゃんは全く分かってない。


俺がどんなに伊鳥ちゃんのその姿を可愛いと思ってるか。


どれだけ見惚れているか。




< 173 / 326 >

この作品をシェア

pagetop