いつの間にか、君に恋していたんだ。
「はぁ、何でこんなに……」
可愛いんだよ……
「なるべく他の奴に見せないで」
「えっ……?」
こんな独占欲の塊みたいなことを言って……
でも、伊鳥ちゃんはそれが分からないみたいで、キョトンとしていた。
「分かんないならいい。接客やってほしくないけど、しょうがないから。俺の目が届く範囲で仕事をしてほしい」
せめて、俺が助けられる範囲で……
本当は他の男に見せてほしくないけど、仕方ない。
「あ、はい」
不思議そうな顔をしつつ、伊鳥ちゃんは頷く。
本当に素直。
俺の勝手な独占欲に付き合ってくれるんだから。
「なら、そうして。じゃあ、さっそくオーダーが来たから行ってみて。ここは手書きで伝票を書くから、伝票はもちろんペンを持っていくのを忘れないように。終わったら、書いた伝票を厨房に伝えて。じゃあ、俺は行かなきゃいけないから。自分でできる?」
「はい、多分大丈夫ですよ。教えてくださりありがとうございます」
伊鳥ちゃんがオーダーが来ているテーブルに行った後、こそこそこんな声が聞こえてきた。
「うわ、可愛いな」
「あの可愛さ、ヤバくね?ここの制服めっちゃ似合ってるし」
「しかも、ツインテールも可愛さ引き立ててるよなー!」
そんなの知ってる。
伊鳥ちゃんが可愛いことなんか、もっと前に。
俺の方が先に知ってる。
イライラが止まらなくなって、あまり営業スマイルができなかった。