いつの間にか、君に恋していたんだ。
「うわ、あの子超可愛い」
「新しく入った子だよな?初々しくていいよなー」
「あの子に来てもらいたいわ」
客からもそんな声が聞こえた。
あー、うるさい。
睨みつけたい気分だったけど、仮にも客を睨むわけにもいかず、黙って厨房の方に行った。
伊鳥ちゃんも聞き終わったみたいでこっちに来た。
オーダーを告げてから、伊鳥ちゃんに聞いてみる。
「伊鳥ちゃん、どうだった?」
「あ、えとちょっとぎこちなくなっちゃいました。バイト初めてなので」
「あぁ、そっか。でも、大丈夫。すぐ慣れるから」
俺もそうだったし。
伊鳥ちゃんは要領がいいだろうし、きっとすぐ慣れる。
「緊張してんの~?」
「ひゃっ……」
伊鳥ちゃんと話していて、イライラも解消されたのに、氷河先輩が伊鳥ちゃんに話しかけてきた。
「ひゃっって可愛い~神崎に教えてもらうのとかやだろ?俺なら優しく教えてあげられるよ?」
「俺に教育係を命じられたんで、結構です」
「いやいや、最初違う奴をオーナーが指名してたじゃん。まぁ、最終的にはそうだけどな」
イライラがぶり返してくる。
俺は、きっと今酷い顔をしてるだろう……
「あの、私は輝楽さんがいいです。輝楽さんとはもともと知り合いなので。それに、輝楽さんは優しく教えてもらってますよ?」
「へ~神崎がね」
俺がいい、そう言ってくれて嬉しかった。