いつの間にか、君に恋していたんだ。
オーナーと伊鳥ちゃんが帰って、俺は仕事に戻る。
その日は終わるまでずっと仕事をした。
「あの子のこと妙に気にかけてるみたいだったけど、神崎はあの子のこと好きなの?」
着替えてると、宇内先輩にそんなことを聞かれた。
返事をする前に、先輩方が喋り出す。
「あぁ、それ俺も思った」
「実際のとこ、どうなんだ?」
もう俺の想いを知っている氷河先輩は面白そうに笑っていた。
それ以外の先輩はこっちを注目する。
「先輩達の予想通りですよ。俺は伊鳥ちゃんのことが好きです」
こう言えば、少しは伊鳥ちゃんのこと好きになる人が減るだろうか……
いや、関係ないか。
伊鳥ちゃんの魅力に気づいてしまえば、誰だって好きになってしまう。
ライバルを増やさないためにも、伊鳥ちゃんの本当の魅力には気づかないでもらいたい。
「うわ、マジか!?女嫌いの神崎が!?」
「神崎落とすとか、すげーな!」
「嘘ー!でも、相手が伊鳥ちゃんならいいや!」
「確かに!今日話してみたけど、可愛い上に性格もいいもんね!」
驚いた声が響き渡る。
伊鳥ちゃんは人気みたいで、女の先輩から嫌がらせ受けることはなさそうだな。
……いや、1人いるか。
チラッと見るとら木梨先輩は俯いてぎゅっと唇を噛んでいた。
どこか憎しみのこもった表情。
……気をつけた方がいいな。
なるべく伊鳥ちゃんから目を離さないようにしよう……