いつの間にか、君に恋していたんだ。
嫌がらせ
〔伊鳥side〕
夏休みになり、学校に行くことがなくなった。
目が覚めると、小夜さんが朝食を作っていて。
「あ、やりますよ!」
そう言ったら、いつもこう言われる。
「いいのよ!伊鳥ちゃんに作らせる訳にはいかないわ。それに、いつも作ってばっかりで作ってもらったことほとんどないでしょ?久しぶりに、誰かの手料理を食べるのもいいわよ。まぁ、伊鳥ちゃんより上手く作れてはないだろうけどね」
確かに、こうやって誰かの手料理を食べるのは久しぶり。
たまに、裕美さんに作ってもらってるけど……
それはお父さんが帰ってきた時だけだから。
お母さんが生きてた頃は、当番制で毎日作ってたわけじゃないしね。
「ありがとうございます」
「いえいえ」
小夜さんは私に優しくしてくれて、住ませてもらってる立場なのに、私に何もしなくていいと言ってくれる。
あそこでの生活と比べものにならないくらい快適。
「伊鳥、早く食べましょう!」
「うん」
今日はピクニック気分で公園に由香ちゃんと来ていた。
小夜さんに作ってもらったお弁当を持って。
「それ、小夜さんが作ってくれてるんでしょ?」
「うん。小夜さん、優しいよね」
いつも、お弁当は自分で作っていた。
お弁当を作ってもらえるのはこんなに嬉しいことだったんだ……
こんな感覚忘れてた。