いつの間にか、君に恋していたんだ。


「伊鳥ちゃんは払わなくていいから」


「えっ、でも……」


「伊鳥、こういう時は素直に甘えなよ!」


「わ、分かった。輝楽さん、ありがとうございます」


いいのかは分からなかったけど、結局輝楽さんに全て払ってもらった。


申し訳なさはあったけど、きちんとお礼を言った。


「どうだった?生まれて初めて食べたラーメンは!」


「美味しかったよ」


カロリー高そうだから、しょっちゅう食べたら太りそうだけど……


でも、本当に美味しかった。


「おっ、よかった!」


太陽君はにこにこ笑っていて、輝楽さんも微笑んでくれる。


これがもう少しで終わる……そう思うと、嫌だなって思ってしまう。


でも、輝楽さんに最初言われたよね。


5ヶ月経ったら、出ていってもらうって。


少しは仲良くなれたとはいえ、女嫌いに変わりはないんだから……長くいてほしくないよね。


だったら、寂しいのは我慢しないと……


「伊鳥ちゃん、どうかした?」


「あっ、いえ。何でもないです」


無理に笑ってみせた。


輝楽さんは何か言いたげな表情だったけど…


「ならいいけど」


諦めたみたい。


何だったんだろう……?


会話は特になく歩いていると、輝楽さん達のマンションに着いた。


そこに広がっていたのは、いつもと違う風景。


それはとても綺麗な女の人がマンションの前に立っていたから。


立っているだけで絵になって、すごくモテそうな人……





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