いつの間にか、君に恋していたんだ。
どうして、マンションの前に立ってるのかな……?
もしかして、誰かを待ってるとか……?
「シオリ……」
えっ……?
輝楽さんの口から零れた名前にびっくりする。
シオリさんって、前に輝楽さんが寝言で言ってた……ってことは、この人なの?
「あっ、輝楽兄!」
気づいたみたいで、その人は輝楽さんの姿が映った途端、嬉しそうな顔をした。
輝楽“兄”……?
ってことは、兄妹ってこと……?
訳が分からない。
正直、頭が混乱していた。
「輝楽兄、久しぶり!」
「あぁ、久しぶり」
でも、2人は恋人同士みたいにお似合いで……
輝楽さんもどこか優しい瞳をしていた。
「俺には何もないの?」
「あはは!太陽も久しぶり!」
「おぉ、久しぶり!」
太陽君とも仲良いみたいだった。
この人は何なんだろう……?
でも、兄妹ではない気がする。
「あれ、君は?」
にこにこ明るい笑顔。
でも、知らない人がいるからか、戸惑ってるようにも見える。
当たり前かな。
「えっと……」
「この子は琴月伊鳥ちゃん。母さんがいない間、家事をしてくれてたんだ」
私の代わりに輝楽さんが答えてくれた。
「へー、そうなんだ!」