いつの間にか、君に恋していたんだ。
嬉しいことと嫌なこと

〔伊鳥side〕


昨日はすごく怒られてしまった。

あの人達に。


あの人達というのは、私の義理のお母さんとお姉さん。


私の本当のお母さんは、もう事故で死んでる。


お父さんは他のお母さんがいないと私が寂しがると思ったみたいで、義理のお母さんである裕美さんと再婚した。


そこでの生活ははっきり言ったら地獄。


私はあの家の奴隷扱い。


義理のお姉さんの奈々美さんとで、私に命令してくる。


普通の家なら、分かるかもね。


でも、お父さんは全く気づいてくれない。


ううん、気づけないんだ。


だって、お父さんはほとんど帰ってくることがないから。


お父さんが帰ってきた時は、裕美さん達は笑顔で私に接してくる。


貼り付けたような笑顔で。


その時はいいお母さんやお姉さんを演じてるんだ。


逆に帰ってこない日は、私が完璧に出来なかったり気に食わなかったりしたら、すぐに暴力を振るわれる。


こんな生活、嫌だし、1人で暮らしたいって何回も思った。


そう思っても出来ないのは、お父さんが私のためにしてくれたから。


お父さんは、私達が仲良くやってると思ってるから。


だから、私も演じるんだ。

仲の良い家族を。


でも、時々心が壊れてしまいそうになる時がある。


その支えになってるのは、由香ちゃん達がいてくれるから。


私を理解してくれるから。


由香ちゃんがいなかったら、きっと私はもう壊れてしまってる。


< 21 / 326 >

この作品をシェア

pagetop