いつの間にか、君に恋していたんだ。


「はい、気分転換に切ってみました」


私はにっこり笑って頷いた。


「ごめん、伊鳥ちゃん!ほんの出来心のつもりだったの!」


それに何故か紫織さんが謝った。


もしかして、髪切ることになったのは自分のせいって思ってるのかな……?


まぁ、切ることになったのは輝楽さんを諦めるっていう意思表示のつもりだけど……


「えっと、何に対して謝ってるんですか?」


「私、輝楽兄と恋人だって言ったでしょ?あれ、嘘なの」


えっ……


まさかの言葉に頭に衝撃が走った。


嘘……?


「お前、そんな嘘ついてたのか」


「輝楽兄もごめん!罪悪感感じてたけど、なんか楽しくなっちゃって!」


テヘッって可愛らしく笑っておられるけど……


太陽君が性格悪いって言ってたの、少しだけ分かったかも……


苦笑いを浮かべた。


「はぁ。ほんと昔から余計なことしかしない」


輝楽さんは深いため息をついた後、私を見た。


ドキッとしたけど、思い出す。


でも、輝楽さん前に寝言で紫織さんの名前呼んでたよね。


あれはどういうことだろう……?


「あの、輝楽さん。前、寝言で紫織って言ったのは何でですか?」


「は?そんなの言ってた?」


「はい」


輝楽さんはどうやら記憶にないみたい。


覚えていたら、すごいことだとは思うけど……


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