いつの間にか、君に恋していたんだ。


「伊ー鳥!」


ぼーっとしていたら、太陽君が私の教室に来た。


教室まで来るなんて珍しい。


どうしたんだろう……?


周りの、特に咲の視線を気にしながら太陽君のところに駆け寄った。


「どうしたの?」


「今日から3日間、母さんが出張でいないんだ。父さんは単身赴任だし。だから、また3日間家事してくれない?」


クラスメイトに聞かれないためか、耳打ちで頼まれる。


3日間……


また一緒にいられるんだ……


「うん、いいよ」


「ありがとう!あ、紫織もいるから、紫織の分もお願いな?」


「それは大丈夫だよ」


「本当にありがとう!じゃあな!」


明るい笑顔を最後にあっという間に走っていってしまう。 


速いな……


元気がいい太陽君らしい。


クスッと笑うと、突き刺すような視線を感じた。
 

それは、やっぱり女の子の視線。


「ほんと仲良いよねー!」


「それに、輝楽先輩とも仲良いみたいだし!」


「琴月さんって、案外男好き?」


私が逃げてたのが悪い。


怖くて、前に進むことができなかった。


だから、こんな状況になってるんだ。


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