いつの間にか、君に恋していたんだ。


心が死んで、操り人形になっていたかもしれない。


「伊鳥、大丈夫?」


ちょうど、由香ちゃんが来て心配そうに顔を覗き込んできた。


「う、うん」


「それは嘘よね。ほんとのこと言って」


由香ちゃんには嘘が通じないな。


私のことをよく分かってる。


「まぁ、だいたい分かるけど。あの人達のせいよね。何言われたの?」


「実は……」





昨日。


家に帰ると、鬼形相の裕美さんと奈々美さんが立っていた。


「何やってたのよ!もう晩ご飯を食べる時間過ぎてるのよ!?」


「どうせ、どっかで道草食ってたんでしょ!さっさと作ってよ!」


やりたくないのに。


でも、どうしようもない。


「すみませんでした。すぐに作ります」


「イライラするわ!」


バシンッ


強く何かを叩いたような音が玄関に響き渡った。


その何かは、私の頬。


裕美さんが私の頬を叩いたんだ。


慣れているせいもあって、どこか冷静に見ている自分がいた。


「さっさと作りなさいよ!あなたなんて、私からしてみればいらない存在なんだから!」


いらない存在……


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