いつの間にか、君に恋していたんだ。
何とか耐えながら、裕美さん達と一緒に過ごしていた。
それから、1年くらい経ったある日。
「俺、琴月のことが好きなんだ。俺と付き合ってください」
寺本頼君に告白された。
告白されたのは初めてだったから、気持ちは嬉しかった。
「うん、いいよ」
特に好きな人もいなかった私は、その告白を受けた。
「寺本君と付き合うことになった」
「へぇ、よかったね!」
そう報告すると、どっちも祝福してくれた。
頼君は始めは優しくて、私のことを可愛いって言ってくれたり、歩道を歩く時は必ず頼君が車側を歩いてくれた。
裕美さん達との生活は苦しいけど、咲や由香ちゃん、頼君と過ごす毎日は楽しかった。
ずっと続いて欲しいと思ったくらい。
でも、そうはいかないもので……
「ありがとう」
理科で実験用具を運ぶよう頼まれた時、一緒に運んでくれた男の子がいた。
その子にお礼を言うと、その子の顔が何故か赤くなった。
たまに疑問に思うけど、どうしてだろう……?
そう思いながら見送っていたら、頼君が怖い顔をして近づいてきた。
「伊鳥」
「何?頼君」
その顔は怒っていて。
何で怒ってるのか分からない私は、首を傾げた。