いつの間にか、君に恋していたんだ。
離婚……ってことは、もう裕美さんと奈々美さんに会うことがないってことだよね。
2人を見ると、変わらず無表情でどう思ってるのかは読み取れなかった。
でも、これでよかったんだよね。
「裕美、奈々美、伊鳥に謝りなさい」
初めて聞くお父さんのキツい口調。
「ごめんなさいね」
あまり反省のこもっていない声だったけど、裕美さんは謝ってくれた。
でも、奈々美さんは口を開こうとしない。
「奈々美!」
「私は謝ろうとは思わない。私はどうしても伊鳥のことが好きになれないもの。調子に乗ってる伊鳥を傷つけるために咲さんにお願いしたのに、意味なかったみたいだし」
私に謝ることへの嫌悪が窺われた。
咲を私の学校に来させたのは、奈々美さんだったんだ……
でも、そのおかげで咲と仲直りすることができた。
その点では感謝すべきだよね。
「ちゃん謝ることができないのか!」
「いいよ、お父さん」
「しかし、伊鳥」
私はお父さんを制した。
怒りはあったけど、別に今はもう何とも思ってない。
今は幸せだから。
「裕美さん、奈々美さん、はっきり言ったら、あなた達との生活は楽しいものではありませんでした。いつも息苦しくて逃げたくなって。でも、もう何とも思ってません。今、幸せなんです。勝手に出ていってしまったことは迷惑かけました。あの時は本当にすみません」