いつの間にか、君に恋していたんだ。
もうこれで会うことはない、そう思ったら素直に自分の想いを告げられた。
裕美さんや奈々美さんもきっと会いたくないだろうね。
私も同じ想いだ。
「ふんっ、出ていくわよ」
「私も出ていくわ」
2人は出ていって、家の中には私とお父さんの2人。
「行っちゃったね」
「伊鳥」
名前を呼ばれて、お父さんの方を見た。
「家に帰ってきてくれないか?やっぱり、お父さんは帰って来れない日もあるが……」
あそこでの生活は楽しかったけど、いつまでもあそこにいるわけにもいかない。
「うん、分かった。小夜さんに言っとくね」
「ありがとう、伊鳥」
それから、小夜さんのところに行って話した。
咲と仲直りできたこと、離婚することになったこと。
これからは自分の家に住むこと。
小夜さんには感謝してもしきれない。
「よかったわね、伊鳥ちゃん!」
「ありがとうございます」
小夜さんは安心したような笑顔で私にそう言ってくれて。
私は改めてちゃんとお礼を言った。
感謝を込めて。
「いろいろお世話になりました」と最後にそう言ってから、私は自分の家に戻った。