いつの間にか、君に恋していたんだ。
買い物が終わったある日。
結構買いこんじゃったなぁ……
これからは自分で作らないといけないから。
そう思ったんだけど、思った以上に買いこんでしまった。
いろいろな物が安かったんだよね。
ふぅと息を吐いて、荷物を持ち続ける。
家までの辛抱だよ……
そう自分に言い聞かせて、自分の家に向かっていると、その途中で……
「伊、鳥?」
私の名前を呼ばれた。
その声にビクリとする。
この声……
「頼、君……」
振り向くと、元カレの頼君がいた。
目が合って、とっさに顔をそらす。
今度は、頼君と再会するなんて……
「久しぶりだな、伊鳥」
「久しぶり、だね」
上手く笑えてるかも分からない。
咲のことが解決して、少しは吹っ切れてるかと思ったけど、そうじゃなかったみたい。
……怖い。
「綺麗になったな」
そんな頼君から呟かれた言葉に耳を疑った。
綺麗……?
私が……?
でも、あれだけブスと言っていたんだから、そんなのお世辞だよね。
「ありが、とう」
でも、お世辞だとしてもそう言われるなんて思わなかった。
綺麗なんて……
「警戒されてるな。まぁ、あんな別れ方したし当然か」
自嘲気味に笑っていて、首を傾げる。
どうして、そんな笑い方をしているんだろう……
「頼君……」
頼君の様子を覗きこむように少し顔を近づけた。