いつの間にか、君に恋していたんだ。
「伊鳥」
それがいけなかったのかな。
頼君の顔が近づき、そっとキスをされた。
「……っ」
ばっと離れる。
その時……
「伊鳥、ちゃん」
後ろから輝楽さんの声がして、思わず振り向く。
すると、輝楽さんがそこに立っていて。
切なげな顔をしていた。
輝楽、さん……
まさか、さっきの見られた……?
「付き合ってる人、いたんだ。ごめん、邪魔したね」
違う……!
輝楽さんが去っていって、私も追いかけようとしたら、頼君に手を摑まれた。
「伊鳥、待ってくれ」
「ごめん、頼君。また後で話そう。逃げないから」
そう言うと、頼君は離してくれて、すぐに輝楽さんを追いかけた。
その様子を頼君が切なさそうな目で見ていたなんて気づかなかった。
輝楽さん、どこだろう……
まだそんなに遠くには行ってないと思うけど……
走りながら、輝楽さんに姿を必死で探す。
輝楽さん、輝楽さん……!
曲がり角を曲がったところで、輝楽さんに姿が見えた。
輝楽さんだ……
スピードを速めて、その背中に抱きつく。