いつの間にか、君に恋していたんだ。


「遅くなった」


「ううん、そんなに待ってないよ」


まるで、デートの待ち合わせの時のような会話。


それにおかしくなりながら、首を横に振る。


「そうか」


「それで、話って……」


多分過去のことだよね。


「伊鳥、ごめん」


「えっ……」


突然謝られて、びっくりする。


何に対して謝ってるの……?


「俺、伊鳥に酷いことを言った。しかも、裏切った。伊鳥には彼氏として最低なことしかしてなかったからな。本当にごめん」


深く深く頭を下げてくれた。


確かにあの時は傷ついたりしたけど、別に謝らなくてもいいのに。


でも、頼君は根が優しいから。


きっと気にしていたんだね。


「別に大丈夫だよ。それに、謝らなきゃ行けないのは私の方。私が安易に告白受けたりしたから。好きだとかそういう感情を考える前に付き合ってしまったから、頼君はきっと苦しかったよね。私の方こそごめんなさい」  


きっと感じていたと思う。


それを不安に思ってたよね。


「伊鳥が謝る必要ねぇだろ。全部俺のせいなんだから。あの頃は今よりさらにガキで、いつも不安だった。伊鳥を誰かに取られるんじゃねぇかって。伊鳥が男と一緒にいるの見るたび嫉妬して、気持ちが抑えられなくなってた」


頼君は当時の感情をさらけ出した。


頼君はいつもそんな風に思って付き合ってくれてたんだね……


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