いつの間にか、君に恋していたんだ。
「俺、伊鳥ちゃんのことが好きなんだ」
「えっ……」
「俺と付き合ってほしい」
ドキドキ胸が高鳴っていく。
「はい」
そう答えると同時に輝楽さんの顔が近づいてきて、私も反射的に目を閉じたところで……
目覚まし時計が鳴った。
一気に現実に引き戻される。
「夢……?」
その内容はリアルに覚えていて、一気に顔が熱くなる。
何て夢見てるの、私は!
すごく恥ずかしい。
さっきの夢、思いっきり私の都合のいい妄想だったし……
自分の熱くなった頬と思考を冷やすために冷たい水を思いっきりかけた。
一気に冷えていく。
ふぅ……
早く行こうかな。
お父さんとご飯を食べた後、「いってきます」と言ってから、家を出た。
何回か夢のことを思い出しそうになったけど、その度に頭から無理やり追い出した。
こんなの都合のいい夢なんだから。
輝楽さんが言おうとしてることは未だに分からないけど、告白でないことは確かだと思う。
私みたいなのを好きになる理由もないし……
「伊ー鳥、おはよう!」
「おはよう、伊鳥!」
「おはよう、咲、由香ちゃん」
いつものように抱きつかれて、よろけそうになりながら挨拶を返す。