いつの間にか、君に恋していたんだ。
「伊鳥に抱きつくのやめなさいって言ってるでしょう!」
「そっちだって人のこと言えないと思いますけどね」
「はぁ!?」
2人の言い合いに苦笑いを浮かべながらも、少し明るい気持ちになれた。
なんか、元気もらったかも。
「あ、伊鳥。どうしたの?」
「なんか変ね」
2人に聞かれて、私は正直に話した。
もちろん、夢のことは除いて。
「あー、あの人ついに言うんだ」
「あーあ、伊鳥が取られちゃう」
咲と由香ちゃんは輝楽さんが何を言おうとしてるか分かってるみたい。
ただ、ため息をついてるのが気になる。
もしかして、悪いことなのかな……?
「伊鳥が何を思ってるのかだいたい分かるよ。伊鳥って相変わらず鈍いよね」
「そうなのよ。でも、そこも可愛いところよね」
「確かにそうですね」
珍しく話が合ってるみたいだったけど、それは私が鈍いってこと。
私、そんな誰からも言われるほど鈍いのかな……?
分からないけど……
少し不安になった。
終礼が終わって、そのまま時計台に向かった。
着いた頃には、もう5時10分前だった。
時計台にはまだ来てないみたいで、輝楽さんの姿は見えない。
あと10分か。
時が近づいてくるたびに緊張してくる。