いつの間にか、君に恋していたんだ。


輝楽さん、早く来てほしいな……


1分前になると、輝楽さんが姿を現した。


その手には、何故か薔薇の花束が握られている。


「ごめん、遅くなった」


「いえ、時間には間に合ってますし、そんなに待ってないので」


謝ってきた輝楽さんに首を振った。


私が着いたのは4時50分だし、約10分しか待ってない。


間に合ってもいるし、輝楽さんが謝る必要なんてない。


「そっか。それなら、よかった」


安心したように笑ってるけど、どこか表情は固かった。


まるで、緊張してるみたい。


「輝楽さん、緊張してるんですか?」


「……まぁ」


どうして、緊張してるんだろう……?


そんな緊急性のある話なのかな……?


緊張するようなこと、それが何なのか私には分からない。


でも、それを今から話してもらえるんだ。


輝楽さんが口を開くのを待っていると……


「伊鳥ちゃん」


「はい」


まだ固さが取れてなかったけど、覚悟を決めたような顔になった。


そして、輝楽さんは私に向けて薔薇を差し出した。


「俺、伊鳥ちゃんのことが好き」


「えっ……」


一瞬聞き間違いかと思って、輝楽さんの顔を見た。


輝楽さんの顔は少し赤くて、それでいて真剣で嘘を言ってるようには見えない。


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