いつの間にか、君に恋していたんだ。


「私なんて誰も見てませんよ。輝楽さんの方が見られてますし」


「……私なんてじゃない。伊鳥は十分魅力的だよ。お願いだから、これ以上頑張ろうとしないで。不安になる」


なんか見透かされたみたい。


でも、全然魅力的じゃないのに……


それに、不安になるってどういうことだろう……?


「それより、伊鳥。明後日の土曜日、俺ん家でデートしない?家デートってやつ」


誤魔化すように話題が変わった。


でも、私には嬉しい提案で。


「はい、したいです」


「そっか。それとも、外がいい?」


「いえ、家がいいです。輝楽さんとゆっくりできるので。あの、太陽君や紫織さんは一緒にいるんですか?」


できれば、2人きりがいいな。



そう思っている自分に驚く。


こんなことを言ったら、2人に失礼だよね。


「いや、さすがに出ていってもらうつもり。伊鳥と2人きりで過ごしたいし」


あぁ、考えてることは同じなんだ……


輝楽さんと一緒、そう考えたら嬉しくて。


自然と笑顔になる。


「私も一緒です。太陽君や紫織さんには悪いですけど」


「それはよかった。でも、太陽達に悪いこと思う必要ないから。たまには気を遣ってもらいたいし」


平然と言う輝楽さんに苦笑いを浮かべた。


冷たい時は少し冷たいよね。


「その時、スケッチブックを持ってきてほしい」


「スケッチブックをですか?」


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