いつの間にか、君に恋していたんだ。
「伊鳥、1人?だったら、私とデートしましょ!」
「えっ……」
これって、冗談だよね……?
2人、明らかにデート中だし。
なのに、由香ちゃんが私を本気で誘うわけないよね。
「おい、由香!それは酷いんじゃねぇの?」
拗ねたような顔の肇さん。
冗談だろうから、そんな顔しなくてもいいのに……
「うるさいわね!肇は黙ってなさい!」
「それは泣いちゃうぞ、由香」
うーん……
困ってしまったけど、とりあえずその冗談に返事をしてみることにする。
「由香ちゃんとのデートは魅力的だけど、私今から輝楽さんに忘れ物届けに行かなきゃいけないんだ。だから、無理かな」
「そうなのね。なら、仕方ないわ」
なんだか残念そうに見えるけど……気のせいだよね。
本気じゃないはずだし……
「ほんと、由香酷えの」
肇さんはそんな由香ちゃんに苦笑いを浮かべてた。
「そもそも、由香ちゃんと肇さんはデート中ですよね?」
これは聞くまでもない気がするけど……
「べ、別に、デートじゃ……」
「デートじゃないって言ったら、俺本気で泣いちゃうよ」
あ、もしかして、恥ずかしいのかな……?
まぁ、確かに知り合いにデート現場見られるのは恥ずかしいかも。
それか、私が1人だから気を遣ってくれたのかも。
「にしても、伊鳥ちゃんよく分かったね!」
「見れば分かりますよ。2人共おしゃれな格好してますし、何より手を繋いでるじゃないですか」