いつの間にか、君に恋していたんだ。
「ふーん。それはどうでもいいけど、解決するといいね」
「はい、そう思います」
それ以降、会話が途切れてしまった。
何か、会話を……
「あの、神崎さん」
「それ」
「えっ?」
「神崎さんっていうのやめない?太陽だって、神崎なんだから。輝楽って名前で呼んでよ」
確かにそうだ。
でも、神崎さんの瞳はどこか試すような瞳をしている。
それを不思議に思ったけど、頷いた。
「そうですよね。分かりました。輝楽さんって呼びます」
すると、なぜか分からないけど、輝楽さんが少しだけ笑った。
「ふっ。ほんと、太陽の言うとおりの子みたいだね。伊鳥ちゃんって。呼ばれて、不快な気持ちにならない」
綺麗な顔で笑顔を浮かべられたら、それはもうものすごいくらいの破壊力で……
つい、初めて会った時みたいに見惚れてしまった。
「見惚れてるの?」
「あ、えと。はい」
動揺してしまって、馬鹿正直に答えてしまった。
「んなはっきり答えるんだ。まぁ、いいけど。ほんとは俺さ、女に輝楽って名前で呼ばれるの好きじゃないんだ」
「えっ、そうなんですか?なら、何で私に呼ばせたんですか?」
「女はいつも気持ち悪い声で輝楽って呼んでくる。どこから出せるんだってくらいの猫なで声で。それが気持ち悪すぎて、無理なんだ」
なるほど。
モテる話は奈々美さんからも由香ちゃんからも聞いてた。
好きな人には、可愛くみられたいからだろうけど……私はできないな。
猫なで声なんて、出ないから。