いつの間にか、君に恋していたんだ。


意見ぴったり揃った2人にため息をついた。


家に着いて、さっそくチョコ作りに取り掛かる。


「伊鳥、何作るつもり?」 


「うーん、それがまだ決めてなくて……」


輝楽さんは甘いものが苦手みたいだから、あまり甘くないブラックチョコを使ったものにしようと思ってるけど、何にするかは決めてない。


でも、私はお菓子を作ったことがないんだし、そこまで難しくないのがいいよね、きっと。


「フォンダンショコラとかどう?」


咲から提案されたお菓子を頭の中に思い浮かべてみた。


フォンダンショコラって、確か生地はケーキみたいな感じで、中からトロってチョコレートソースが出てくるお菓子だよね。


難易度高そうだけど……


「それ、初心者にはレベル高すぎじゃない?」


「そんなこともないですよ。案外簡単です。それに、器用な伊鳥なら絶対作れるようになりますよ」


「あぁ、確かに。伊鳥なら、すぐコツつかみそう」


さっきまで反対してた由香ちゃんがコロッと態度を変える。


……私、できないよ。


「2人共、私を過大評価しすぎじゃないかな」


「そんなことないよ」


「事実を述べたまで」


あっさりと言った2人を恨めしく思う。


< 307 / 326 >

この作品をシェア

pagetop