いつの間にか、君に恋していたんだ。


昨日、作りまくって本当に疲れたんだよね。


寝てしまったのは、きっとそのせい。


「ごめん。厳しくしすぎちゃった」


「あ、ううん、謝らないで!咲のせいじゃないから」


申し訳なさそうな顔をしてる咲に、慌てて否定した。


本当に咲達のせいじゃない。


むしろ、これは私のせい。


謝る必要なんてないよ。


「本当に私のせいじゃないの?」


「うん」


なら何なのって聞かれたら、困るけど……
 

愛想笑いを浮かべてたら、咲も諦めてくれたみたい。


「なら、そういうことにしとく」


な、なんか申し訳ない。


そうは思ったけど、喋るわけにもいかないから、そのままやり過ごした。


あっという間に放課後になって、今日は久しぶりに由香ちゃんと帰る。


「由香ちゃんと帰るの久しぶり」


「そうね。私、伊鳥と久しぶりに帰れて嬉しいわ!」


「私もだよ」


顔を見合わせて、笑い合った。


「明日はバレンタインだけど、由香ちゃんは肇さんにフォンダンショコラを渡すの?」


「ううん、フォンダンショコラじゃないわ。私が渡すのは、生チョコトリュフだから。作るの簡単だし」


ぷいって顔を背けたけど、少し照れくさそうな感じの由香ちゃん。


私分かっちゃった。


簡単なんて言ってるけど、それは肇さんのリクエストなんだよね。


きっと肇さんの要望に応えて、生チョコトリュフにしたんだろうな……




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