いつの間にか、君に恋していたんだ。


「伊鳥、太陽に告白されてたの?」


「は、はい」


「何で言わなかった?」


「そ、それは輝楽さんと付き合う前の話なので、言わなくてもいいかなって思ったからです」


まだ機嫌が悪いみたいで、声は低いし、顔も少し怖い。


責められてるような気分になる。


「はぁ。じゃあ、太陽にチョコあげたのはどうして?しかも、俺より先に」


……あれ?


もしかして……


「輝楽さん、ヤキモチですか?」


なんとなく、そんな気がした。


……そういえば、だいたい機嫌が悪い時、輝楽さんはヤキモチ妬いてた気がする。


違ってたら、恥ずかしいけど……


「そうだけど、何」


「で、でも、太陽君ですよ?」


「それでも、普通に妬くけど。悪い?」


「い、いえ」


拗ねたような顔になる輝楽さんは、いつもと違って可愛い。


「伊鳥はモテるから、いつも気が気じゃない」


「モテてないですよ?」


「……ほんと無自覚すぎる」


はぁとため息をついた後、こっちを見てきた。


「それより、さっきの質問に答えて」


「え、えっと、太陽君にあげたのは友チョコですよ。お世話になってますから。本当なら、輝楽さんに朝一で渡す予定だったんですけどね。だから、順番が逆になっちゃいましたけど、太陽君に先に渡すことにしたんです。その後に、輝楽さんに渡そうと思って待ってました。これ、受け取ってください」


少し緊張しながら、輝楽さんに昨日作ったフォンダンショコラを差し出した。





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