いつの間にか、君に恋していたんだ。
シオリという呟きに時は起きていないにしても、私どれだけ長い間見つめていたんだろう。
恥ずかしくて、顔が赤くなっていくのを感じる。
「……すみません。不快な思いをさせてしまいましたね。ご飯ができたので呼んでこようと思ったんですけど、輝楽さんの寝顔があまりにも整ってるのでつい……」
俯きながら、思わず本音を語ってしまった。
言い訳にしか聞こえない。
輝楽さんは女嫌いなんだから、見つめられるなんて普通に嫌だよね。
「ほんと、君は正直者だね。そんなご丁寧に理由述べるなんて」
呆れたような声が頭上から降ってくる。
……怒ってない?
恐る恐る顔を上げると、
「わざわざありがとう。さ、行くよ」
少し笑みを浮かべた輝楽さんが目に入った。
2回目のほんの少しの笑み。
そのまま輝楽さんは部屋を出ていって、私はその場にへたり込んでしまった。
あんなのずるい……
ドキドキしている胸を抑えて、私も輝楽さんの部屋を出た。
「へー、伊鳥ちゃんって料理上手だよね、ほんと。めちゃくちゃ美味そう」
「そ、そうですか。嬉しいです」
「じゃあ、いただきます」
わざわざ私が来るのを待っていたみたいで、手をつけていなかった。
こういうところ、いいな。