いつの間にか、君に恋していたんだ。
そんな風に思った自分がいて、びっくりしてしまう。
何思ってるんだろう……?
私、変だ……
「伊鳥ちゃん?」
「あ、はい。何ですか?」
「ちょっとぼーとしてるみたいだったから。このハンバーグ、めちゃくちゃ美味いよ」
「それはよかったです」
本当に美味しいという顔で食べているから、嬉しかった。
家ではそんなこと言ってもらえない。
言ってくれるのは、お父さんだけだから。
「伊鳥ちゃんは食べないの?」
「はい。私は家で作って食べなきゃいけないので」
「家でも作ってるの?当番制とか?」
「いや、そういうわけじゃないんですけど……私が作らなきゃいけないんです」
そう、あの人達は……裕美さん達は何もしてくれないから、私がするしかないんだ。
お父さんには仲の良い家族を見せなきゃいけない。
絶対に勘づかれないようにしなきゃって。
「そう」
何かを察したみたいで、こっちをじっと見てくる。
なんか、居心地が悪い。
「じゃあ、もう帰りますね。太陽君が帰ってきたら、温めて食べてねって言っておいてください」
そのまま鞄を手に取って行こうとしたら、輝楽さんに止められた。
「何ですか?輝楽さん」
「連絡先交換しない?」