いつの間にか、君に恋していたんだ。


連絡先……輝楽さんの?


「あの、何で?」


「いることになるかもしれないからね。お互い持っておいて損はないと思うけど」


「確かにそうですね。でも、本当にいいんですか?あなたの嫌いな“女”ですよ?」


「確かに嫌いだけど、伊鳥ちゃんのことは別に嫌いじゃないよ」


そう言った後、輝楽さんは少し顔を背けた。


嫌いじゃない……その言葉が私には本当に嬉しい。


だって、私を認めてもらえたような気がしたから。


昨日よりももっと。


「そうですか。なら、交換したいです」


スマホを取り出して、連絡先を交換した。


お父さん、裕美さん達、由香ちゃん、中学の友達、太陽君の次に並ぶ神崎輝楽の文字。


登録した人は少ないから、増えて嬉しい。


「交換終了。じゃあね、伊鳥ちゃん」


「はい、また」


靴を履いて、マンションを出た。


よかった、嬉しい……


私はその帰り道ご機嫌だった。






家の前に着いてしまって、せっかくいい気分だったのが急降下。


はぁ、憂鬱……


それでも入らないわけにはいかないから、意を決して中に入った。


その瞬間に目に入った男物の靴。


お父さんが帰ってきてるんだ……


っていうことは今日は……



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