いつの間にか、君に恋していたんだ。
本当に好きなんだ。
私が今描いてるのは、美術室から見えるグラウンド。
何でも描けるけど、特に静物画が得意。
それに、人物画も。
1回だけ由香ちゃんに頼んで描かせてもらったことがあるんだよね。
でも、その1度きり。
他の人も描いてみたいなぁ……
「あれ?君、何してんの?」
突然誰かに話しかけられて、ビクッとする。
どこかで聞いたことのある声。
振り向くと、今朝騒がれていた神崎太陽君だった。
「えっと、絵を描いてるの」
「ほんと!?見して!」
何か答えなくちゃと思って答えると、興奮したような声が返ってきた。
そして、私のキャンバスを覗き込む。
……近くで見ると、本当に整ってる。
綺麗な明るい茶髪が無造作にセットされていて、切れ長の……コンタクトが入ってるのかな?
綺麗な茶色の瞳。
口元にはだいたい笑みが浮かんでる。
由香ちゃんと同じくらい顔が整っているんだ。
それに、スタイルも抜群。
「うわ、すごっ!琴月、絵上手いんだな!」
私はびっくりしてしまった。
私の絵を褒めてくれたこともあるけど、1番は神崎君が私の名前を知っていたこと。
何で、私の名前を知ってるのかな……?
「神崎君、何で私の名前……」
「あぁ、それは琴月が有名なんだよ!いろいろなことで!」