いつの間にか、君に恋していたんだ。
「あれ、伊鳥ちゃん?」
「きー、ちゃん」
中学生の時の同級生に会った。
きーちゃんは相変わらず美人で、由香ちゃんにも劣らないくらい。
前と比べると大人っぽくなってるけど、面影は変わらない。
懐かしさを感じると同時に、後ろめたさも感じた。
「久しぶりだね!元気だった?」
「うん。きーちゃんも元気だった?」
「うん、もちろん!」
こうして普通に接してくれるけど、何でこんなにも普通に接してくれるのか分からない。
私のせいであんなことになったのに……
「ねぇ、きーちゃんは……美術部の皆は私を恨んでないの?」
「恨む?どうして?」
「だって、私のせいで美術部は潰れてしまったのに……」
ずっとそう思ってきた。
その心苦しさから、私は高校生になっても美術部には入らなかった。
入ろうと思えなかった。
「それは伊鳥ちゃんのせいじゃない。自分を責めないで。悪いのは、伊鳥ちゃんのお姉さんと咲ちゃんと頼君のせいなんだから」
久しぶりに聞いた名前にドキッとした。
途端に胸が苦しくなる。
裏切られたことを思い出してしまったから。
「ありがとう、庇ってくれて」
「美術部の皆そう思ってるよ。だから、お礼なんていいから。あ、そうだ。明日、同窓会があるんだけど行かない?咲ちゃんと頼君は来ないよ」