いつの間にか、君に恋していたんだ。


「別に伊鳥ちゃんは何もしてない。俺の伊鳥ちゃんに対する評価が変わっただけ」


「えっ、それがすごいと思うけど!?まぁ、伊鳥の性格の良さだな!!」


すごく嬉しそうな顔の太陽君に苦笑いを浮かべた。


私は性格よくないのにね。


でも、評価が変わったって……いい方向にだよね?


悪い方向だったら、嫌だなぁ……


「あ、伊鳥。スケッチブック持ってきた?」


「うん、持ってきたけど……何するの?」


鞄の中からスケッチブックを取り出して、見せる。


「もちろん、伊鳥に絵を描いてもらうんだよ!」


「絵を?」


「そう!伊鳥、前に言ってたじゃん!人物画描きたいって」
  

確かに、前太陽君にそんなこと言った覚えがあるけど……よく覚えてるね。


あんな会話、忘れられてもおかしくないのに……


「へぇ、伊鳥ちゃんって絵を描くの得意なんだ?」


「えっ、あ。得意っていうか、好きなんです。絵を描くのが。でも、そこまで上手じゃないので」


「はっ、あれで!?初めて会った時に見せてもらったけど、めっちゃ上手かったよ!俺、絵が下手だし、絵のこととか全然分かんないけど」


太陽君の言葉は嬉しいけど、私は本当に上手じゃない。


< 44 / 326 >

この作品をシェア

pagetop