いつの間にか、君に恋していたんだ。
「別に伊鳥ちゃんは何もしてない。俺の伊鳥ちゃんに対する評価が変わっただけ」
「えっ、それがすごいと思うけど!?まぁ、伊鳥の性格の良さだな!!」
すごく嬉しそうな顔の太陽君に苦笑いを浮かべた。
私は性格よくないのにね。
でも、評価が変わったって……いい方向にだよね?
悪い方向だったら、嫌だなぁ……
「あ、伊鳥。スケッチブック持ってきた?」
「うん、持ってきたけど……何するの?」
鞄の中からスケッチブックを取り出して、見せる。
「もちろん、伊鳥に絵を描いてもらうんだよ!」
「絵を?」
「そう!伊鳥、前に言ってたじゃん!人物画描きたいって」
確かに、前太陽君にそんなこと言った覚えがあるけど……よく覚えてるね。
あんな会話、忘れられてもおかしくないのに……
「へぇ、伊鳥ちゃんって絵を描くの得意なんだ?」
「えっ、あ。得意っていうか、好きなんです。絵を描くのが。でも、そこまで上手じゃないので」
「はっ、あれで!?初めて会った時に見せてもらったけど、めっちゃ上手かったよ!俺、絵が下手だし、絵のこととか全然分かんないけど」
太陽君の言葉は嬉しいけど、私は本当に上手じゃない。